中野哲平の日記

中野哲平が人工知能に関して色々解説します

すべての企業がICOはすべきか?

すべての企業がICOはすべきか?

 

先日、ICOを発表したNAMの中野です。

この発表以来、多くの起業家や、大企業のお偉い様が弊社に連絡いただき、

ICOしたいが、どうしたら良いか」というご質問を受けました。

 

私の率直な意見は、

 

  1. ICOブームだからと行って、既存の事業をICOさせるのは意味がなく、ICOするべき事業との相性を見極めるべきだが、親和性を理解してる人は、あまりいない

 

  1. 資金調達が目標なら、ICOは行うべきではない。むしろ長期的に見ると、資金調達だけなら、ICOは得策ではない可能性が高い

 

と考えております

 

まず1番ですが、ICOでコインを発行してサービスに使うようですが、このコイン(暗号通貨)は現状でも、そんなに便利な代物ではありません。決済スピードとコスト、プライバシー、ユーザー教育等々、ものすごく障壁があると思います。

 

ユーザーへの暗号通貨のリテラシー教育

    現在は、あるサービスのアカウントのパスワードを忘れたら、容易に再発行できますが、暗号通貨における秘密鍵をユーザーが紛失した場合は、再発行は簡単ではないです。

 

スピードとコスト

 簡単に言えば、トークンの移動に数円かかり、認証時間も遅いです。ユーザーがこのコインを使うときの送信手数料を払うのでしょうか。

 

プライバシー

 コインの移動や発行量など隠せないような仕様になっているブロックチェーンが多い。

 

ちなみ、プライベートチェーンにすれば良いのではないか、という反論が来そうですが、それは本来の暗号通貨のメリットである、公平性や、可視性、ユーザー間の価値の移動、互換性を少し無視してるので、今回は語りません

 

2番の「長期的に見て得策か」という場合です。

 暗号通貨は、はっきり言えば、何も知らない人からの評判はものすごく悪いですよね。今ICOが魅力的に見えるのは、暗号通貨の価値が下がることなく、上がり続けているからです。しかし一旦、価値が下がり落ちてしまった場合、あなたの会社のICOでコインを保有してた人は、損をしますが、それと同時に、会社の評判も物凄く悪くなります。別に悪いことをしていなくても、投機的な理由でICOに参加される方が多いためです。

 

ここまでいうと、ICOはデメリットが多く、なぜNAMICOを行うか? と思います。

一旦通貨を発行するメリットを考えてみましょう。

 

通貨を発行する意味は、資源の最適化と我々は考えています。

 

 「飛行機会社が持て余す空席をマイレージで利用可能」というシステムは、余った空席という資源を、マイレージという通貨で利用させ、ユーザーを更に囲い込むことで、更なる利益を出す(ニーズ)素晴らしいモデルです。

 ビットコインも、地球に存在する余ったコンピューターという資源を、海外への送金の効率化や安全性の向上(ニーズ)を高めることに成功しました。

 

重要な点は、満たすべきニーズは何か、そしてそのために有効活用できそうなコミュニティ内の余ってる資源は何かを、検討することです。

それらをどのように組み合わせてゆくのかが、新たな通貨の導入におけるカギとなります。

このような通貨のことを補完通貨とも呼ばれます。

 

暗号通貨というアプローチではなく、補完通貨という意味で、通貨を見てみると、世界には様々な例があります。数えきれない例があります。

その中でもフランスのSOLヴィオレットを紹介します。この通貨は、社会的連帯経済を推進する通貨として2007年から発行されました。

イメージとしては、コミュニティ内の独自通貨の発行で、できるだけSQLヴィオレットの流通量を、そのコミュニティの中で増やすことで、社会的な連携を増やすことです。地域通貨と調べてみると、たくさん他の事例も載っています。

 

さて恐らく多くの人が聞きたいのは、ICOするには、どのプラットフォームですべきか、それぞれの実装具合の大変度などと、思うのですが、

それらを考える前に一度、通貨を発行するというのは、どういう意味か、考えてみると楽しいですね。

 

次回は技術的な話にもう少し踏み込みましょう