うつ病を、音声、動画、その話した内容から予測する人工知能
こんにちわ、株式会社NAMの中野哲平です。
今日は本日発表されたインドの研究を紹介します。
タイトルはその名の通り「うつ病を、音声、動画、その話した内容から予測する」です。
結論から言うと、あまり上手くいった研究ではないです。そもそも、「うつ病」と言うのは医者でも診断が難しい。
医者ができないことは、やはり人工知能を使っても難しいのです。この研究では、
音声については、声の低さ、連続で発声している時間
動画については、顔の向き、瞬き、顔の表情など
話した内容については、感情の激しい言葉が入ってるか
などから、うつ病かを診断しようとしました。しかし、あまり上手くいきませんでした。
ここで「人間ができないことは、人工知能もできないの?でも囲碁の世界チャンピオンに、人工知能は勝ったよね?」と言うことです。
これが人工知能の核となる部分です。人工知能は、ルールや明確な目標が定義されていれば、いるほど、人間より強くなります。
例えば囲碁の場合、ルールは単純明快で、目標は相手に勝つこと。一寸の曇りもないシンプルさです。
100人囲碁の専門家がいて、終局の盤面を見たら「どちらが勝ったか」と言うゴールは
100人全ての囲碁のプロ棋士は同じ答えを出します。
しかし「うつ病の診断」の場合、そもそもの目標を決めるのが難しい。例えば、100人の精神科のお医者さんがいたら、ある一人の患者さんを見て、うつ病かどうかの判断をすると、全員同じ答えには絶対なりません。こういうケースでは、 人工知能は、どれが絶対的なルールがわからなくなってしまいます。
その結果、どのデータや経験から学習すれば良いか、わからなくなり、人工知能はあまり上手く予測することができません。前にも申し上げたように、人工知能がうまく使える分野と使えない分野が、今の人工知能の技術では存在します。
それらをうまく見分けるコツは、その分野に明確なルールがあるかどうかです。意見の割れない領域か、そこを考えてみましょう。